【掃除モチベUP】なぜ多くの偉人が掃除を勧めるのか〜大掃除に向けて心の準備〜

5,000年前から、現代に至るまで。数々の偉人たちが掃除を勧める理由とは??
三木智有 2024.11.05
誰でも

「掃除」は数ある家事の中でも、自分自身の心身を整える効果のある自分にとって価値の高い家事です。一方で「やらなくても死なない」「めんどうくさい」「やってもすぐに汚れるのが嫌」と敬遠されがちでもあります。

11月に入り、そろそろ大掃除の季節も近づいてきました。
そこで、今日はあらためて「掃除」が持つ「家がきれいになる」以上の魅力に迫ってみたいと思います。5,000年前から、現代に至るまで。数々の偉人たちが掃除を勧める理由とは??

▶ 「掃除は普遍性のある修行である」と松下幸之助は語る

掃除の効果は「部屋がキレイになる」です。これは、考えるまでもなく当たり前のこと。
ですが、もしも掃除がそれ以上でもそれ以下でもなければ、部屋をキレイにすることは本当にただの不愉快な無償労働と言えるかもしれません。

ですが、不思議なことに「掃除」というのは、これまで数多くの著名人や成功者たちがそこから得る学びの深さを勧めています。

個人では、北野武・星野仙一・桑田真澄・菊池雄星・桂谷光一などがトイレ掃除の実践をしており、大谷翔平もグラウンドに落ちているゴミを拾うなど意識的に掃除をしています。
また、地域の治安回復のために掃除を使ったカリキュラムを取り入れたり、栃木県足利市では「足利5S学校」という取り組みを地域の学校、職場、行政等で積極的に行っています。

※ 5Sとは「整理、清掃、整頓、清潔、躾」のこと

また、掃除(清掃活動)が組織行動によい影響を与えるとして、多くの企業でも意識的な清掃活動を戦略的に取り入れています。

では、なぜみんなそんなに「掃除」を特別視するのでしょうか。

Panasonicの創始者である松下幸之助氏が、掃除を大変重要視していたという事実にそのヒントがあるかもしれません。

掃除ひとつできないような人間だったら、何もできない。皆さんは、“そんなことはもう、三つ子の時分から知っている”と思うかもしれないが、ほんとうは掃除を完全にするということは、一大事業です。 ――1980年6月2日

仏教の修行でも、掃除はとても重要視されています。
とくに厳しい修行で有名な曹洞宗大本山 永平寺の雑巾がけは苦行とも言われています。床に膝をつかず、前屈の状態で後ろに下がりながら右に左にと雑巾がけする姿は何だかとても身体に悪そうです。(…ごめんなさい)
そこまでしないまでも、様々な修行において掃除というのは重要視されています。

今から2500年前。ブッダの弟子にチューラ・パンタカ(周梨槃特)という、めちゃくちゃ物覚えの悪いお弟子さんがいました。周りにも馬鹿にされ、もう修行をやめたいとブッダに申し出ました。
すると「まあまあ、そう言わず。とにかく掃除していなさい」と言われます。「掃除しながら『塵を除く、垢を除く』って唱えるんだよ」と。

お師匠さんの仰ることだからと、素直に「塵を除く、垢を除く」とブツブツいいながら、チューラ・パンタカは毎日毎日掃除をします。するとそのうちに「塵ってなんだ?」「垢ってなんだ?」と思うようになり、「ああ、塵や垢ってのは心の汚れのことだ」と気が付き、悟りを開いたそうです。(※3)

掃除や片づけが心理的にもたらす効果についての研究も数多くあります。
米デポール大学の心理学教授で散らかりに関する研究の第一人者、ジョゼフ・フェラーリ氏によれば、「片付けや整理は疲労感を減らし、職場での生産性向上、生活の質向上に寄与する」とのこと。(※4)

また、掃除や片づけによって乱雑さを軽減させることが、ストレスの解消に繋がり、実際のタスクに使える脳のエネルギーを増してくれる(※5)とも言われています。

さらに、精神科医の貝谷久宣氏は「掃除は身体を動かすことになる。気持ちが落ち込み、身体を動かすのが億劫になり…という悪循環を断つエクササイズになる」と推奨しています。(※6)
気持ちが落ち込んだり、なんだかやる気が起きなかったり、色んなことが面倒に感じるときにこそ、頭を空っぽにして掃除をすることで、自分自身を取り戻すことができるのかもしれません。

▶ 掃除を一生懸命やることが、自己を成長させる

どんな仕事でも、単純な仕事でも、真心をこめてやらないと具合が悪い。そこからいろいろなものが生まれてくるわけや。掃除の仕方でも、やっているうちに、こういう掃除の仕方があるということがわかってくる。植木のあいだを掃除していても、こういうふうにしたほうがもっと早くきれいになる、木のためにもなると気づく。そんなことまで考えるような人は、しまいには植木の職人になるかもわからん。そうすると、植木屋になっても非常にいい仕事ができる。君が植木屋になるわけやないけれども、どんなにつまらんと思う仕事でも、やる以上は精神をこめてやらなければいけない。
松下幸之助

僕自身は、掃除がキライです。
…ここまで「掃除ってすごくいいんだよ」と言っておきながらなんですが、掃除をする前はだいたい機嫌も悪い。何より面倒くさいです。

ですが、やるからには一生懸命やります。
適当に、さっさと終わらせようとイヤイヤやれば、それはただの作業でしかありません。

僕は、子育てから多くのことを教わりました。娘が成長する過程で自分自身も親として成長する機会をたくさん与えてもらいました。
これは、子育てだから特別に学びを得たのでしょうか?

そうではないと思います。料理をしたり、掃除をしたり、洗濯をしたり、仕事をしたり。こうした日々の生活の中から何を得るかは自分次第でしかありません。

掃除は長い歴史の中で、多くの人が「自分を成長させるため」「社会をよくするため」「仕事を成功させるため」に意義があると言い続けています。それこそ、2500年前のブッダの時代から、現代のスポーツ選手やタレント、経営者まで。

掃除が自分自身にどのような価値をもたらすかはわかりません。
心理学が示すように心のデトックスになるかもしれない。きめ細やかな視点を得ることになったり、運動になったり、仕事の成功に繋がるのかもしれないし、そんなことは特にないのかもしれません。
でも、少なくとも部屋はキレイになるし、それによって僕の気持ちはとてもよくなります。

▶ 年末に向けて、少しずつ大掃除をはじめてみよう

大掃除とは「何となく気になっているけど、普段は掃除できていない場所」を掃除することだと思っています。

なので別に年末に1日かけてやらなくても、今から少しずつ始めてもいいと思います。

少し前に洗濯機の乾燥フィルターに溜まってしまった埃の塊を全部キレイに取り除きました。
そうすると乾燥機のパフォーマンスが全然違うんです。
もしもキッチンの換気扇に1年分の油汚れが溜まっているのだとしたら、それをキレイにしたら換気扇の威力は倍増するかもしれません。

わが家も家族みんなで大掃除の日を決めて、少しずつ始めようと思います。

年末に向けて、一緒に汚れをきれいサッパリ落としていきましょう。

✉️ 小さい家のためのインテリアの法則

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先月から新しくつくった、子育てできる小さな暮らしの部屋づくりのコツを伝える”ちいくらnote”。
このニュースレターのリンクからご覧いただいた方もいるかと思います。


10月は講演会の合間を縫って、コツコツと「小さい家のためのインテリアの法則」という記事を書いていました。
インテリアのコツは数々ありますが、その中でも特に小さい家にとって有益なコツを厳選しています。

僕は、家が小さくても、心地よい暮らしをあきらめる必要なんてないと思っています。
だけど、家具をどうレイアウトしたらいいかわからないし、どうやったらオシャレになるかもわからない。

そう思って「やっぱり家を大きくしなきゃどうしようもない」と思っている人にとって、暮らしを改善するヒントになると思います。

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