【勘違いだった!?】ワークライフバランスで本当にバランスを取るべき相手とは

こんにちは、家事シェア研究家の三木です。
いま、娘が春休み中で「卵焼き修行中」です。
低学年のころから、卵焼きは作れていたのですが、急に「もっと上手に作れるようになりたい」ということで、
毎朝お弁当に卵焼きを作っている僕が、作り方を伝授中です。
今回は「ヘラ」じゃなくて「箸」で巻きたいとのこと。
ところが、やっぱり箸で巻いていくのはなかなか難しくて、破れたりよれたりしながらがんばっています。
4月になれば、いよいよ6年生。
TCS最後の一年を、親としてもめいっぱい楽しみたいと思います。
さて突然ですが、「ワークライフバランス」って言葉、どう思います?(←本当に突然…!)
ぼくはずっと、この言葉に違和感がありました。
仕事と家庭のバランスを取りましょう。
男女で役割をうまく分担しましょう。
家事シェアの話をすると、だいたいこの2つの軸で語られます。ぼく自身もそういう研修をやったりしています。
だけど、なんか違和感を感じる。
仕事をがんばったら、家庭がおろそかになる感じがするし、逆も然り。
ですが、この1年ほどで、その違和感の正体がはっきりしてきました。
そもそもバランスを取る相手を、間違えているんじゃないか!?
今日はそんなお話です。
▶ 「仕事と家庭」で戦っても、勝者はいない
「仕事と家庭の両立」って言われると、なんとなくこんなイメージが浮かびます。
天秤の片方に「仕事」、もう片方に「家庭」。
どちらかに傾けば、どちらかが犠牲になる。
ぼくも子どもが生まれた頃は、まさにそう感じていました。仕事を調整して、保育園のお迎えに間に合うようにして、帰ったら家事と育児。それを毎日繰り返す。
やっていること自体は間違っていなかったと思います。
だけど、ずっとシンドかった。
なぜシンドかったのか。
振り返ってみれば、仕事と家庭という「やらなくちゃいけないこと」同士を天秤に乗せていたからです。
やらなきゃいけない仕事 VS やらなきゃいけない家事育児。
この対決に、勝者なんていません。どっちも必要だし、どっちも減らせない。
だから疲弊する。
だから「子育てが落ち着いたら自分の時間を取り戻そう」なんて思ってしまう。
それって、考えてみれば自分の人生を犠牲にしながら両立しているということでもあります。
▶ そもそも、なぜ仕事と家庭は「対立」するのか
ちょっと歴史の話になりますが、仕事と生活がここまで分断されたのは、じつは産業革命以降のことです。
それまでは農業中心で、仕事も暮らしも同じ場所にありました。
それが「工場は街、暮らしは家」という職住分離モデルが広まったことで、仕事と家庭は物理的にも心理的にも切り離されていきました。
そしてこの分離は、もうひとつの分断を生みました。
「外で稼ぐのが男の仕事、家を守るのが女の仕事」 というジェンダー役割の固定化です。
お金を稼ぐ仕事は「価値がある」。
お金にならない家事育児は「やって当たり前」。
今はさすがにそこまで極端じゃない、と思いたいところですが。
この構造に、ぼくたちはまだ無意識のうちに巻き込まれています。
だから「仕事と家庭のバランスを取りましょう」と言われると、なんだか仕事と家庭が敵同士みたいに感じてしまう。
でも、本当にそうでしょうか。
仕事と家庭って、戦うべき相手なのでしょうか。
▶ 利他に偏りすぎると、自己犠牲になる
ここで、少し視点を変えてみます。
仏教の考え方の中に、「自利利他(じりりた)」という言葉があります。
自利とは、自分のためになること。
利他とは、他者のためになること。
その両方を大切にしましょう、という考え方です。
この視点で日々の暮らしを見てみると、面白いことに気がつきます。
朝起きて、朝ごはんを作って、子どもを送り出して、洗濯して、仕事して、帰ったらまた家事と育児。
これ、ほぼ全部「誰かのため」にやっていることです。
もちろん、家族のためにがんばることは素晴らしい。
だけど、それがずっと続くとどうなるか。
「わたしばっかり家事をしている」
「わたしばっかり子どものことを考えている」
「わたしばっかり稼がなくちゃいけない」
この「わたしばっかり」は、利他が行き過ぎて、自分自身への働きかけ(自利)が消えてしまったサインです。
推し活もしたいけど、そんな時間があるなら家事しなきゃ。
友達とランチに行きたいけど、その間の家事が気になる。
自分のためにお金を使うのが、なんとなく後ろめたい。
こうした罪悪感のひとつひとつが、自分のコップの水をどんどん減らしていきます。
空っぽのコップで、家族のコップを満たすことはできません。
▶ 利己に偏っても、うまくいかない
一方で、「自分さえよければいい」という利己的すぎる生き方も、やっぱり長くは続きません。
家族のことを顧みず、自分だけが好きなことをする。
家事育児はパートナーに丸投げして、自分は趣味に没頭する。
短期的には楽かもしれません。
でも、いずれ家族との関係性は壊れていきます。
つまり、利他でも利己でもなく。
その両方のバランスが大事なのです。
そして、ここがポイントなのですが。
「仕事と家庭」のバランスは、自分ひとりではコントロールできません。仕事の忙しさも、家事育児の量も、外部の要因に左右されるからです。
でも、「自利と利他」のバランスは、自分の中で取ることができます。
今日は誰かのためにがんばった。だから、夜の30分は自分だけの時間にしよう。
今週は仕事が忙しくて家族との時間が少なかった。だから、週末は家族のために使おう。
この「自分の中でのバランス感覚」こそが、暮らしの質を決めていくのだと思うのです。
▶ 自分のためが、家族のためになる循環
自利利他で大切なのは、自利と利他が「対立」するのではなく、「循環」するということです。
たとえば、こんな循環。
家事を効率化して、毎日30分の自分の時間をつくる。
その30分で、好きなことをする。推し活でも、読書でも、ただぼんやりするだけでも。
すると、ちょっとごきげんな自分でいられる。
ごきげんな自分でいるから、家族にも余裕を持って向き合える。
これは、利己的でしょうか?
そうじゃない。
自分を大切にすることが、家族を大切にすることにダイレクトに繋がっている。
むしろ、自分のための時間をつくらないことが、家族への優しさを奪っているかもしれません。
自分がゴキゲンじゃないのに、人をゴキゲンになんかできるはずがない。
親の一番の仕事は、日々をゴキゲンに過ごすこと。
ぼくはそう思っています。
▶ 家事も仕事も推し活も、ぜんぶ「はたらく」
この自利利他の考え方を突き詰めていった先に、ぼくがたどり着いた答えがあります。
「はたらく」とは、自分自身を含む、誰かのために行う活動のすべてである。
稼ぎを得るための仕事も。
自分や家族のために行う家事も、子どもを育てることも。
自分を楽しませたり癒やしたりする趣味も、推し活も。
全部、同じように「はたらく」なのだと。
どの活動も、「自分を含む誰かを豊かにするための行動」であるという一点において平等です。
ぼくはこの考え方を「Well-Work」と呼んでいます。
Well-Workで考えれば、「仕事か家庭か」「男か女か」という対立構造自体が不要になります。
仕事をすれば、お金を得て、生活の基盤を安定させることができる。
家事育児をすれば、暮らしを維持し、家族との関係性を深めることができる。
趣味や推し活をすれば、自分自身を充足させ、日々のエネルギーを回復できる。
どの活動にも、それぞれの「報酬」がある。
お金だけが報酬じゃない。関係性も、心の充足も、成長も、全部が報酬です。
そしてこれらの報酬は、すべて自分の人生に還元されていく。
家族と「ただいま」「おかえり」を温かく交わせる日常。
罪悪感なく好きなことに没頭できる夜。
子どもが自分で朝の支度をしてくれた朝。
こうした日常の中にこそ、人生を豊かにする報酬があふれています。
▶ 「自利と利他」のバランス、取れていますか?
最近、自分のための時間を持てていますか?
「家族のため」「仕事のため」に走り続けていないでしょうか。
逆に、自分のことばかりで、家族のことが後回しになっていないでしょうか。
仕事と家庭のバランスなんて、正直コントロールしきれないことの方が多い。
でも、自分の中の「自利と利他のバランス」は、今日からでも意識できます。
自分のための30分を、罪悪感なく過ごしてみること。
家族のためにやっていることが、自分の喜びにもなっていないか、感じてみること。
その小さな循環が回り始めたとき。
仕事も家事も推し活も、ぜんぶが自分の人生を豊かにする「はたらく」に変わっていくのだと思います。
◉ 編集後記
さいごまでお読みいただきありがとうございました!
じつはこの「自利利他」という考え方は、数年前から自分のクレド(行動指針)として掲げていたものでした。だけど、最近になってようやく「ワークライフバランスへの違和感」と「自利利他」がひとつに繋がった感覚があります。
仕事と家庭のバランスじゃなくて、自利と利他のバランス。
この言い換えだけで、けっこう肩の力が抜けるんじゃないかと思います。
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家事シェア研究家 三木智有(みきともあり)
NPO法人tadaima! 代表理事
講演実績 述べ900回以上 | 著書2冊 | インテリアコーディネーター
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